ダイレクトメソッドとは？ その① TPR学習法
2024/07/18
- ダイレクト・メソッド
- 当教室では学習事項を指導する際、ポイントを日本語で説明して理解させる方法は取りません。英語を直接英語のまま理解し、記憶する指導法である、「ダイレクトメソッド」という方法を用いています。
TPRって何？
今回はダイレクトメソッドの一つ、TPR（Total Physical Response 全身反応法）をご紹介しましょう。先生が”Raise your hand.” (片手を上げなさい。)、”Raise your hands.” (両手を上げなさい。)のように英語でいいながら、片手を上げ、また両手を上げると生徒はその指示を理解し、生徒にRaise your hand.と言うと、生徒は指示通り片手を上げ、Raise your hands.と言うと両手を上げます。小５、小６クラスでは、４月開講後の４か月程、毎回１０分程度この方法で学びます。Stand up. Sit down. Look up. Look to the right side. Look to the left side. Look forward.などの表現を３～４回の授業で学習します。授業中に先生がすることは、以上の指示を英語で出しながら、動作するだけです。出てくる語句の意味を、日本語で説明することはほぼありませんが、それでも生徒は指示を理解し、英語の指示を何度も聞くことで、英文中の語句の強弱や文のイントネーションを自然に吸収していきます。指示の英語の音に慣れてきた段階で、ネイティブスピーカーの発音を何度か後に続いて発音させると、難なく英語らしい発音で指示が言えるようになり、生徒がお互いに指示を出し合うことさえ、簡単にできるようになるのです。この指導技術により、生徒はリスニング力（聞き取り力）をつけるだけでなく、英語らしい発音とともにスピーキング力（英語を話す力）を身につけることさえできるのです。
英語では、主語の次に動詞が来ます。動詞の次には、目的語（～を）や補語（～だ、の～に当たる語）が来、次に場所を示す副詞、最後に時の副詞という語順になります。一方、日本語では例えば、「私は毎日、本を読む。」のように、主語は主語を表す、「は」、目的語は目的語であることを示す「を」で表し、動詞は最後に置きますね。日本語では助詞により、文中における語句の働きを示すことができるために、語順は柔軟であり、固定されません。例えば先ほどの「私は、毎日本を読む。」は場合によっては、「本を、毎日、私は読む。」とも言えますよね。以上の通り、日本語と英語では語順の持つ意味が大きく異なり、これが日本語を母国語とする人が英語を学ぶことを困難にさせている理由の一つになっているのです。
TPRは英語を耳だけで理解する方法
TPR教授法では、目を使って英文を読ませる、ということはありません。生徒は耳のみを通じて、何度も英語の語順通りに意味を取る必要に迫られ、その過程で無意識のうちに語順に慣れていきます。“He plays baseball in the park.”のような一般動詞を含む文を学習するようになった時に、TPRの学習経験により、英語の語順に違和感を感じないでこうした英文を学習してくれることを期待して指導しています。
また、TPRを用いることで、生徒の皆さんは、学習の初期段階から英語の単数・複数を文法的な説明なしで簡単に学習できます。いくつか例を示しましょう。Feel your cheek. 「片方の頬を撫でて」 Feel your cheeks.「両頬を撫でて」とか、Hold your finger. 「指を（一本）掴んで」、Hold your fingers. 「指を何本か掴んで」のような指示を与えることで、日本語での説明を一切与えなくとも、英語の複数に簡単になじむことができるのです。
今回の記事は、英語を英語で直接教えるダイレクトメソッドの一つ、TPRについてお話ししました。次回は、異なるダイレクトメソッドのお話しをする予定です。お楽しみに！
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